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ヤドリギ

遺書代わりのメモ

「本気でそう思ってないんだ。そうかぁ」

おかしな商売をしているからおかしな人に会うことは慣れっこなんだけど、本当に根っこから振り切れておかしな人に会うと、ちょっと切ない気持ちになる。

週末、飲み会であった人は典型的な「本当におかしな人」だった。日本のここが間違っている。日本国民は飼いならされすぎて正常な判断ができなくなっている。なぜみんなこの異常事態に気づかないのだろう。私はすでに気づいているんだが、あなたはどうなのか。そんな独演会を1時間ほど聞かされた。その人は酒を一滴も飲んでいなかったので、たぶん酒の力を借りたら2時間になっていただろうなと思った。

名刺交換をしたのでFacebookを覗いてみたら、投稿がすべておかしかった。「愚かな日本国民よ、私の警告に気づけ」とばかりにニュースに偏った意見を述べることが日課のようだった。通知を見たらフレンド申請が来ていたので、丁重に拒否させていただいた。たぶんこれから二度と会うことはないだろう。

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実は独演会を終わらせたのは、私の質問だった。

あまりにも純粋で、自分の考えが100%正しいと信じきっている。しかし、1つだけ理解できないことがあり

「これだけ日本のおかしなところに気づいていて、危機的状態であることも理解されているのに、なぜあなたは政界に打って出ないのですか?」

と質問したところ、虚を突かれたような顔をして、全く喋らなくなってしまった。

10秒ほど考えこんだあと、言い訳を始めた。金がない、そもそも私の意見はいまの国民の低い理解度では支持を得られない。などなど、ありがちでつまらないものだった。

「じゃあ資金は私が出しますよ」

「理解されないなら、理解されるまで路上演説なりネットで情報発信するなりすればいいじゃないですか」

と逃げ道を塞いだら、何かよくわからないことを叫び、その後ほとんど喋らなくなってしまった。

私が彼にかけた最後の言葉は

「本気でそう思ってないんだ。そうかぁ」

だった。

私はおかしな人は好きなんだけど、まわりに嫌われたくない中途半端な気持ちでおかしな人をやっている人は、好きではない。

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