ヤドリギ

遺書代わりのメモ

「企画はA4一枚にまとめろ」なんて言うから日本は世界から取り残されていくんだよ

日本のビジネス界では、本質的な話ではないのに金言扱いになっているものがいくつもあります。

そのうち最もクソなのが「企画はA4一枚にまとめろ」。うちでこんなことを本気で言う社員がいたらクビにするレベルです。誰だこんな言葉をありがたがっているやつは。

企画がA4一枚にまとまるわけないじゃん

考えてみてください。Facebookという実名制のSNSを思いついたとしましょう。A4一枚にまとまりますか?まとまりませんよね。同じようにTwitterやLINEも1枚じゃまとまらないはずなんですよ。

「世の中を変えるサービスはたった1枚の企画書から始まった」みたいな話、聞いたことがありますか?ないと思います。だいたいは誰かとの出会いや何気ない会話から生まれているはずです。その内容もとうていA4一枚におさまるものではないでしょう。

一枚で説明されても迷惑

それでも一枚にまとめるべきだと思う方、わかりました。では実際に一枚の企画書でプレゼンを受けてみてください。

企画書には「今までにない画期的でレボリューションなハイパーメディアクリエイターもびっくりなアプリ」という説明しかありません。そりゃそうです、1枚ですから目を引くところしか書けないわけです。

次にどうするでしょう?当然質問攻めです。1枚にまとめるためにざっくり削ったところを主に聞くことになるでしょう。

この作業、無駄じゃないですか?なぜこの企画をやりたいと思ったか、この企画をやるにあたってどれくらいの勝算があるのか、ターゲットユーザーにヒアリングはしているのか、数字は集めたのか、全部資料にまとめてプレゼンすればいいじゃないか、となりませんか?少なくとも私はそう感じます。

1枚にまとめることのデメリットをもう一つ。資料1枚の場合は参入時にかかる費用や市場規模の数字を質問して、口頭で聞かされることになるのです。そんなん覚えてられるかとなります(後日議事録で確認しますけど)。経営者としてはたまったもんじゃありません。

海外ではプレゼンが当たり前

日本はダメで海外が全て良いというつもりで言うわけではありませんが、海外で企画を通そうとするときはスライドを使ったプレゼンが開催されることがほとんどです。

いまだとピッチって言えばいいんでしょうか。制限時間5分とか10分とか、決まった時間の中でスライドを見せつつ企画の主旨を説明します。もちろん日本とは違いスライドは1枚ではなく制限時間内で表示しきれる枚数が用意されます。その後に質疑応答があり、その場でやるかやらないかを決めるわけです。

ここで企画書1枚だけずっと壁に写して説明なんかした日には出席者全員がその場で帰るでしょう。そんなプレゼン聞いたことないですし。カネを出す人たちが安心して「よし、やろう」と思えるだけのスライドを準備しないと即死です。

海外で投資家からお金をもらおうと思っている日本人の方、これは絶対に覚えておいてください。企画書一枚に思いの丈を詰め込んで「届け私の思い!」と見せつけたら、きっと「これだけ?」と怒りの表情であなたを睨みつけてきます。で、その続きはありません。本編に入る前に退場になるでしょう。

企画書一枚じゃなくて5分以内にまとめてほしい

日本だけでブームの企画書一枚神話は、海外で仕事をするにあたって大きな問題を引き起こしています。一枚にまとめる→プレゼン中に疑問が出まくり→これダメだわになるので、他の国とのコンペで負けまくります。そんな現状を知らずに今日も「A4一枚で説明できないものに魅力があるはずがない」と勘違いした発言を繰り返す人が日本の企業の上にいるので、日本と世界の差は開いていくばかりです。

我が社では「5分で説明しろ」を徹底しています。企画書は何枚でもいいので、5分以内にプレゼンし切ること。そしてスライドはその場でシェアすること。この方がずっと頭をつかうことになるし、質問する側も数字を見つつ質問するので本質的な議論をすることができます。

気をつけてほしいことは、一枚にまとめなくていいとはいえ、資料の枚数を増やしまくってはいけないということ。プレゼンを受ける側が抱きそうな疑問を解消するデータのうち、プレゼン内で説明しないといけないと思われるものだけに絞りましょう。蛇足に近いものは後日まとめて議事録にでもくっつけて提出すれば良いのです。

企画書一枚症候群に陥ってる方は、ぜひ今日から「5分プレゼン」に頭を切り替えてみてください。あなたの考えている画期的なアイデアはA4一枚に収まるものではないのですから。

おまけ:プレゼンの参考になる本

わたしがよく参考にしている書籍です。

5分プレゼンはやってみるとわかりますが死ぬほど短いので、「どれだけ図解できるか?」がポイントになってきます。なので、図解の技術に関する書籍をたくさん読んで勉強してみてください。

個人的に「マッキンゼー流図解の技術」は名著です。この本のおかげで勝ったコンペは数知れず。やっぱりノウハウが溜まっている会社の本は役立つし説得力があります。たぶん、この本のお陰で増えた売上は億はくだらないんじゃないでしょうか。

マッキンゼー流図解の技術

マッキンゼー流図解の技術

 

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